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きらめく人たちにインタビュー

小林彩花さん「ウォーターベルの秘密」で県理科教育部会長奨励賞受賞および日本学生科学賞入選!

ウォーターベルの容器の材質や中に入れる物質によって音や音域がどう変化するかを研究。2オクターブまで音域を広げる成果をあげました。

小林彩花さん(大山口中学校2年)が令和4年度千葉県児童生徒・教職員科学作品展に「ウォーターベルの秘密」を出品し、千葉県教育研究会理科教育部会長奨励賞を受賞しました!

小林 彩花(こばやし さやか)さん

2022年11月11日、千葉県総合教育センターでの表彰式にて

千葉県児童生徒・教職員科学作品展とは

県内の児童生徒の創意工夫に富んだ科学工夫作品及び自然科学の中で物理、化学、生物、地学に関する研究や調査の科学論文、教職員の自作教具を展示するとともに、優秀な作品を表彰し、広めることにより、明日の千葉県の科学技術を担う人材の育成と科学技術教育の振興に資する。(令和4年度 千葉県児童生徒・教職員科学作品展実施要項より抜粋)

小林 彩花さんにインタビュー!

Q:理科が好きなんですね?

小林さん:はい! 理系がとにかく大好きです!

Q:理科のどういうところが面白いですか?

自分で予想を立てて実験してみて、国語などと違い予想が当たってるか外れてるかが、明確に分かる点が好きです。

 

Q:自由研究を始めたきっかけを教えて下さい。

私が幼稚園生のころ、兄が糸電話の自由研究をしており、それを手伝ったことがきっかけです。その研究が非常に楽しかったので、自分も小学生になったら自由研究してみようと思いました。小学一年のときからずっと、毎年夏休みには自由研究をしています。

 

Q:一番好きな教科、苦手な教科を教えてください。

好きな教科は、数学か理科かの二択です。理科の中でもいろいろ分野がありますが、物理が一番好きです!

今は電気を学んでいて、いろいろと回路を繋げるのがそもそも楽しいです! 回路を作って実際に電流を流して、電流計で計って並列回路と直列回路の違いなどを実験してます。

物理・化学・生物・地学を学んでいますが、その中でも物理が一番好きで、地学が一番苦手です(笑)!

 

国語や英語が苦手です。歴史も苦手ですが、三国志は大好きなんです(笑)! 三国志好きは、漫画から始まって小説も好きで読んでいます。

興味があることには徹底的にできるのですが、興味がないものは、本当に何も手がつかないんです(笑)!

 

Q:「ウォーターベルの秘密」とはどのような研究ですか?

グラスなどの容器に水などを入れて、どのくらい音域が出るか、また、音を変化させる要因やその法則について調べました。容器の中に入れるものやその条件を変え、音域がどのくらい変化するのかを考えながら行いました。


実験の後半では、いろいろな材質の異なる容器で実験してみました。音質・音域・響きの3つについて調べ、どの容器が楽器に使えそうか調べてみました。音質が良くても音域が狭かったり、響きが良くても音質が悪かったり、同じ材質でも形状が異なると違うので、一概にこれが一番良い容器というのは難しいですが、それを調べているときはすごく楽しかったです。

国内最高峰の中高生向け科学研究コンテスト「第66回日本学生科学賞」では入選三等を受賞しました。

日本学生科学賞とは
1957年にスタートした日本学生科学賞は、中学生、高校生を対象にした歴史と伝統のある日本最高峰の科学コンクールです。毎年9~10月、身の回りの小さな疑問や不思議の解明、教科書に書かれている学説に対する疑問の解決などについて、 個人、もしくは生徒が共同で取り組んだ実験・研究・調査作品を募集しています。 応募作品には専門家による書類審査とプレゼンテーション審査を行い、優秀な作品を表彰します。(日本学生科学賞のサイトより抜粋)

Q:どうしてウォーターベルを選んだのですか?

幼少期の頃、コップなどを叩いて音を出して遊んでいたことを思い出して、これをもっと科学的に実験してみたら、音階が作れ、曲が弾けるんじゃないかと思い実験を始めました。


最初は一つのガラス製グラスで、グラスに入れる水の量を変えるとどのように音が変わるか実験しました。グラスに何グラムの水を入れると、音階のどの音になるか、音の高さを測定するチューナーを使って測定し調べました。

ここで分かった事は、「水を入れてないグラスをたたいた時に出る音から半音下げるためには、グラスに半分くらいの水を入れる必要がある」ということです。そのあと、半音下げるために必要な水の量はどんどん減少していきますが、満水になるにつれ、今度は半音下げるための水の量が増えていく傾向にある事も見つけました。


次に「この現象はこのグラスだけではないのか?」という疑問がありましたので、同じ材質の形や容積の違うグラスなどで調べていくと、先ほどのグラスと同じような法則で音が変化していくことがわかりました。

 

音の変化はグラスに入れる水の量に影響を受けることがわかったのですが、「本当にそれだけなのか?他の要因からも影響を受けているかも?」と思い、ワイングラスに触れる水の面積に着目しました。

 

ただ、「ワイングラスに触れる水の面積を増やす」イコール「水の量を増やす」になってしまうので、ワイングラスに触れる面積は同じで質量を変えられるものを探しました。思いついたのは、「グラスの中にゼリーを入れ、ゼリーの真ん中だけくり抜く」でした。そうすれば、グラスに触れる表面積を変えずに質量を変えることができるので、それで実験したところ、普通、ゼリーの真ん中をくり抜くと、質量が下がり音は上がるはずですが、その上がり幅が通常と比べ小さかったので、ワイングラスに触れる表面積も音の変化に影響していることがわかりました。

 

あと、ワイングラスの中に入れる物質を変えたらどうなるかを研究しました。「水よりも密度の高い物質を入れたらどうなるんだろう?」と思い、濃度20%の砂糖水を用意して実験してみたところ、水より密度が高い砂糖水では大きく音域が広がっていくので、次に濃度を55%にした砂糖水で試したところ、初めて1オクターブの音域が出ました。


1オクターブの音域が出ないと、曲が成り立たないのでようやく『できた!』と思いました。水よりも密度の小さい食用油を使用したら、やはり水よりも音域が狭かったので、この事からも密度が関係している事がわかりました。


いろいろな法則がわかってきたので、家にある様々な容器を使って音域を調べました。容器によっては、叩いたときにノイズがひどくて判定出来なかったり、あまり響かなくて分からなかったりもしましたし、耳が壊れるんじゃないか?というくらい雑音にしかならなかったこともあって、すごく辛かったこともありましたが(笑)。

そして、ようやく、この実験で音域ごとにタンブラーやワイングラスなど4種類を厳選して並べて叩いたら、2オクターブを出せる『楽器』になりました!(このとき、容器には塩水を入れました)

Q:次はどんな実験がしたいですか?

ウォーターベルについては、これで完結にしたいと思います。
あとは、中学1年生の時にクモの糸の強度実験をしたのですが、次はクモの糸よりも強度が高いといわれているミノムシの糸についても実験してみたいと思っています。現在、ミノムシは絶滅危惧種に指定されていてるので実験は難しいかもしれませんが、ミノムシの糸で何かできたらいいなとか、クモの糸を蚕のように何かを作って利用できれば、画期的になるんじゃないかなって考えています。

Q:どんな将来像を描いていますか?

具体的にはまだ迷っていて、音楽系に進みたいと思う気持ちもありますし、音についても研究したいです。でも、ちゃんと食べて行くには会社とかに勤めた方がいいのかなとか(笑)、いろいろ考えててまだ全然決まっていません。

 

Q:趣味はありますか?

ビリヤードが大好きです。球を落とすだけでなく、相手の打ちにくい場所へ配球したり、いろいろ考えてプレーしたり、戦略を立てる事がすごい楽しいです。小学生の頃に、母に遊びに連れていってもらったのがきっかけです。ビリヤードのレッスンを受けたこともあります。そのとき、偶然にもプロの方に教えていただいた事もあり、ますます興味がわきました。

 

Q:興味のある事は何ですか。

受験の事もあって今は考えられませんが、ビリヤードもしたいし、三国志も読みたいし、ピアノで弾きたい曲もたくさんありますし、オーケストラを聴きに行きたいなとも思っています。

Q:白井市で好きなところはどこですか?

しろいの梨が好きで、美味しい梨がたくさん食べれるところです。

 

Q:白井市にあったらいいなって思うことはありますか?

市内でビリヤードができる場所が増えたらいいなと思います(笑)! 一人でも行けて、漫画が読めたり、ボウリングも好きなので娯楽施設が増えるといいなと思います。

Q:お父さんとお母さんにメッセージをお願いします。

理科の実験ではいろいろと手伝ってくれて、ありがとうございます。夏休み中ずっと、父には実験の相談に乗ってもらいました。リビングを大きく占領して自由に実験したり、クモを家に連れ込んだりしても母は許してくれました。私にとって恵まれた環境だと思っています。お父さん、お母さんありがとう!

 

 

小林彩花さん、ありがとうございました。

取材日:2023年1月12日


謝意:小林彩花さんは、ピアニストとしても研鑽を重ねる才女で、自身が知りたいと思うことには「時間」など存在しない探究心もお聞きしました。近年の小・中・高生の科学離れの深刻さを見聞きする事があります。しかし小林さんの貪欲なまでに科学的な『なぜ?』を求める探究心に、ただ関心するばかりでした。いつかきっと、素晴らしい「発見」をして世界へ羽ばたいてくれると信じています。素晴らしい逸材にお会いでき、大変光栄でした。取材させて頂きました小林様ご家族へ心より厚く御礼申し上げます。