きらめく人たちにインタビュー
世界で活躍するオペラ指揮者、市内在住の澤村杏太朗さんが笠井市長を表敬訪問されました。
2022年9月18日(日)に銀座ヤマハホールで開催される第3回クオーレ・オペラ ガラコンサートで指揮を務められます。
白井市笠井市長と澤村杏太朗さん ※撮影時のみマスクを外して頂きました。
澤村 杏太朗 Kyotaro Sawamura/指揮者
【経歴】
千葉県出身。県立東葛飾高校を経て東京藝術大学指揮科を首席で卒業。卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞、若杉弘メモリアル基金賞を受賞。
指揮を三河正典氏、高関健氏、山下一史氏、Vittorio Parisi氏に師事。また、下野竜也氏、沼尻竜典氏、Fabio Luisi氏、Stefano Ranzani氏らのマスタークラスにおいて研鑽を積む。
これまでに、東京フィルハーモニー交響楽団、大阪交響楽団、東京ニュ-シティ管弦楽団と共演。一方でオペラの分野にも精力的に活動し、「愛の妙薬」「椿姫」「ヘンゼルとグレーテル」「カルメン」「ラ・ボエーム」等、数多くの演目で正指揮者を務めた。
東京藝術大学卒業後、新国立劇場に副指揮者として勤務。
2017年公演「椿姫」クオーレ・ド・オペラ指揮者。9月1日(金)~3日(日)イタリア文化会館で歌劇「椿姫」。9月9日(土)ヤマハホールで「カヴァレリア・ルスティカーナ」上演。
2019年よりイタリア ミラノジュゼッペヴェルディ音楽院指揮科に在籍。
2021年8月にイタリアで開催されたルイジ・マンチネッリ国際オペラ指揮コンクールにおいて、日本人として初めて優勝する。副賞としてジェノバ歌劇場ほか3箇所での本番での指揮が与えられた。「出典:郭沫若記念館ホームページ」
市川市文化振興財団 芸術文化奨励賞
市川市文化振興財団は文化芸術における新人の発掘・育成を財団理念の核とし、以前より「新人演奏家コンクール」「いちかわ未来の画家コンクール」を開催しております。その考えから、市川市にゆかりがある若き芸術家で目覚ましい活躍をしている方を「市川市文化振興財団 芸術文化奨励賞」として、顕彰しております。「出典:郭沫若記念館ホームページ」
白井市笠井市長との懇談後、澤村杏太朗さんにインタビューしました。
Q:第3回市川市文化振興財団芸術文化奨励賞の受賞おめでとうございます。
ありがとうございます。コンクールが終わり、受賞に関するご連絡を市川市の方からいただいたのが、まだイタリアにいる頃でした。
イタリアにいますと、何かしら日本との距離感を気持ちの中で葛藤する事がありました。「自分は今海外では活動しているけれども、日本ではまだ自分は何もできていない」と。日本で直接評価をしてもらっているわけでもありませんでしたから、海外の活動がきっかけとなり、市川市から文化奨励賞を受賞をいただき、還元できたのかなと、率直にとても嬉しかったです。
人との出会いに本当に恵まれたと感謝しかありません。
Q:ポップスやジャズ等、他の音楽ジャンルには興味がなかったのですか?
両親の影響が大きいと思いますが、自宅ではそういうジャンルに興味を持たなかったのかなと思います。いわゆる日本のポップスのような音楽などは聞きませんでした。
Q:新国立劇場の副指揮者をご経験されたと伺いました。
シーズン期間中にはいくつかの演目があり、公演毎の契約を結びました。2019年1月からの『タンホイザー』副指揮から同年5月まで『蝶々夫人』副指揮として仕事をさせて頂きました。
2017年(平成29年)東京藝術大学指揮科を首席で卒業。2019年(平成31年)新国立劇場副指揮者として1シーズン契約。その後ミラノ音楽院"ジュゼッペ・ヴェルディ"指揮科に入学し今年卒業した英才。
Q:今年の3月、イタリアのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院指揮科を卒業されたとお聞きしました。
イタリアにはいくつか音楽院がありますが、その中で一番レベルの高いところだと一般的に言われている音楽院です。毎年指揮科には1名か2名が合格する狭き門で、入学できる人数は少ないですね。
Q:オーケストラなど指揮をする魅力や一番楽しいところを教えてください。
リハーサル(練習)中には、指揮者である自分が言葉を発して、それに対してもちろん反応があって、というやり取りを何度もします。しかし、本番になると演奏していく中で、例えば目を使ってとか自分の動きなどで言葉を使わずに音楽を通して会話をしていきます。
本番中に自分の思ってることを完璧に奏者が理解してくれて、ここで本当に心が通じ合ったなっていう瞬間に出会う事があるんですよ。それは話をしなくてもわかるんです。
指揮中、奏者に向けてアイコンタクトを入れたりして「いいね!あ、そう、それだよ!」奏者も「これでしょ?」、「あっ、そう、それ!」みたいな(笑)。そういう瞬間があって、その瞬間の喜びは何物にも代えがたいと思います。
観客の皆さんにも「良い演奏だった」と伝わることもあり、皆さんに喜んでいただけるように演奏をまとめていく事が私の仕事であると思います。
奏者の最大の魅力を引き出すことが私の仕事でもあります。
まだまだ、迷ったり悩んだりすることもたくさんあると思います。
Q:幼少の頃についてお聞かせください。どんな子供でしたか?
そうですね。小学生の頃は、本当にわんぱく!やんちゃ!な子供で、いつも外で遊んでました。その後中学に入ってちょっと変わったと思います。ピアノと真剣に向かい合うようになって、少し自宅でピアノを弾いている時間が増えたという変化はあったのかなあと思います。
小学校にもブラスバンドはありましたが入部することなく、中学生になってピアノに時間を割いていました。吹奏楽部にも入部したい気持ちはもちろんありましたが、自分なりにピアノに費やすことを決めました。
Q:オペラに興味を持っていたのですか?
私自身がイタリア留学へ行ったこともオペラがきっかけです。そもそもクラシックは膨大で、色々なジャンルのある音楽です。その中でもやはり「オペラ」というジャンルに興味を持っていました。
もともとオペラが生まれたのはイタリアなんです。歌手がいて、その人たちが演技をして物語があって、オーケストラが舞台の下で演奏している作品です。
例えば「お相撲さんになりたい人が日本に来て修業する」考えと同じように、私はイタリアへ行きたくて、オペラが生まれた国で、その国の文化を学んで言葉を学んでいきたいと思うようになっていました。
2021年8月にルイジ・マンチネッリ国際オペラ指揮コンクール優勝記念として『カヴァレリア・ルスティカーナ』を公演しましたが、ピエトロ・マスカーニはイタリアの代表的なオペラ作曲家です。
両親はいつでも応援してくれ、やりたいことをやらせてくれた事に本当に感謝しています。
Q:市民として思う白井市の魅力を教えてください。
仕事柄海外の様々な地域を観る事が多いですが、綺麗な街や有名な街などもよく行きます。
白井市はとても緑が多い所で、それでいて北総線で都心へのアクセスの良さもあります。緑があって虫も動物もいて、すごくバランスが良い街だなと思うんです。白井市は私の故郷なので、一番落ち着ける大好きな街です。
Q:澤村さんの目標を教えてください。
正直なところ、私もまだそういうこと(目標について)を悩みながら、いろんなことを迷いながら一歩ずつ歩んでいる状況です。世界で開催される大きなコンクールにも挑戦したいですし、海外の大きな有名劇場で、例えばオペラ発表することも目標としています。
音楽家には様々な仕事の仕方とか、音楽との関わり方には、いろいろな可能性があると思うんです。今はまだ決めつけずに、挑戦するだけ挑戦したいと思います。
※撮影時のみマスクを外して頂きました。
Q:白井市の子供たちにメッセージをお願いします。
やりたいことや目標、夢は、口に出すといいと思います。口に出して、そのことをいつも考えている事が大切だと思います。そして諦めなければ、いつか必ず叶うんじゃないかなと思います。
Q:白井市民の皆さまへメッセージをお願いします。
指揮者というよりも音楽家としまして。
クラシックなどの音楽会のように大ホールで演奏する会場に綺麗な格好してという世界もありますが、そうではなく本当に気軽に身近な部分で楽しめる音楽はいくらでもあります。嬉しい時、悲しい時に音楽って非常に大事なものです。
そういう意味でも(音楽には)色々な楽しみ方があると思います。あまり固く考えずに「気軽にみんなで歌おう」みたいな会があったら、 本当に気軽に出かけてほしいなあと思います。
音楽家としても、気軽に参加できる音楽の催しをたくさん開催して欲しいですし、自分でも参加してもらえる機会を少しでも多く作っていけたらなと思います。
澤村杏太朗さん、ありがとうございました。
2022年9月18日(日)
「第3回 クオーレ・ド・オペラ ガラコンサート 新しい旅立ちへのコンサート」が開催されます。
時間/15:00開演(14:30開場)
会場/ヤマハホール
料金/6,000円(税込み)
謝意:音楽家、澤村杏太朗さんにお会いし、底知れない魅力を感じました。オペラなどの知識のない記者にも、分かりやすく紐解くように説明してくださったことに感謝申し上げます。オペラの本場イタリアで研鑽を積み、留まることのない大きな挑戦を応援したいと思います。取材をさせて頂きました澤村杏太朗さんに心から御礼申し上げます。取材日:2022年8月19日
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。