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きらめく人たちにインタビュー

伊藤順一さん「第18回ショパンピアノコンクール」予備予選出場!

市内在住の伊藤順一さんが、ポーランド・ワルシャワで開催される、世界的に最も権威のあるコンクールのひとつ「第18回フレデリック・ショパン国際ピアノコンクール」の予備予選に出場されます。

予備予選には、全世界から書類・ビデオ審査を通過した160名超が参加します。昨年10月に開催されるはずでしたが、世界的な新型コロナウィルス禍で延期になり、2021年7月に開催されます。

5年に一度、ショパンの故郷であるポーランドの首都、ワルシャワでショパンの命日である10月17日の前後3週間に開催される国際的に有名なコンクールです。現在も続く国際音楽コンクールの中では最古のもので、その入賞者には世界に名だたる音楽家が名をつらねます。課題曲はショパンの作品のみとなっており、エチュード、ソナタ、幻想曲、ワルツ、ノクターン、協奏曲など多岐にわたっています。世界的に最も権威のあるコンクールのひとつといわれ、エリザベート王妃国際音楽コンクール、チャイコフスキー国際コンクールと合わせて世界三大コンクールといわれています。世界を目指すピアニストの登竜門となるコンクールです。

「出典:一般社団法人 東京国際芸術協会(ホームページにリンクしています)」

伊藤 順一(いとう じゅんいち)さん

学歴

東京藝術大学音楽部附属音楽高等学校から同大学音楽学部入学後、2011年よりパリ・エコールノルマル音楽院に留学しコンサーティスト高等ディプロムをピアノ、室内楽共に満場一致の首席にて修了。その後、パリ国立高等音楽院伴奏科、リヨン国立高等音楽院ピアノ科で研鑽を積む。

師事歴

東京藝術大学付属高校、並びに同大学にて、秦はるひ氏、坂井千春氏

パリ・エコールノルマル音楽院にて、アンリ・バルダ氏

リヨン国立高等音楽院にて、エルベ・エヌカウア氏、ティエリー・ロシュバック氏

活動歴

幼少時よりヤマハ音楽教室に通い、ピアノと作曲を学ぶ。

 

小学5年からヤマハマスタークラスとピアノ演奏研究コースに移りさらに専門的に学ぶ。マスタークラス在籍中にはフランスでのパリ国立音楽院教授による講習会に参加し、パリ近郊のオベール・シュル・オワーズ音楽祭に出演。またヤマハでの選抜演奏会や自作曲の演奏会に出演し、王子ホール、新宿文化センター大ホール、大田区民アプリコホールなどで演奏。

 

高校、大学では他の楽器の伴奏を数多く担当し、弦楽器、管楽器のほぼ全ての楽器の伴奏を経験、また彼らの試験や卒業演奏会などの伴奏も担当する。

その中で優秀な演奏家と共に、自主企画としてヤマハ音楽教室にて2010年から定期的に演奏会を主宰。昨年は歌手とコンサートを開催し10周年を迎えた。

 

エコールノルマル音楽院では2年間ピアノトリオを結成し、パリの教会や区役所など多くの場所で演奏。

その後、パリ国立音楽院伴奏科や、リヨン国立音楽院ピアノ科にて研鑽を積み、トリオや2台ピアノ、管楽器カルテットなど様々な編成の室内楽を経験し2017年には音楽院で選抜され、2台ピアノでストラヴィンスキー春の祭典をウクライナから招聘された民族舞踊楽団と共演。

 

また、リヨンでは芸術振興会に所属し、毎月各地の老人ホームで1時間のミニコンサートを開催。

その他2017年よりフランス中部ノアンで開催される、イヴ・アンリ教授のピアノ講習会においてアシスタントを務める。

 

2019年末に完全帰国し、東京や神戸にて後進の指導をするほか、各地でリサイタルを開催している。現在、第18回ショパン国際コンクール参加のため準備を進めている。

主なコンクール受賞歴

日本クラシック音楽コンクール、全日本学生音楽コンクール、かずさピアノコンクール、安川加壽子記念コンクール、ジャンフランソワ(フランス)、リヴォルノ(イタリア)などに入選

 

2010年 第4回 横浜国際音楽コンクール 大学の部 第1位

2010年 第21回 彩の国 埼玉ピアノコンクール 大学・一般部門 金賞

2011年 第13回 イルドゥフランス国際ピアノコンクール 第3位(フランス)

2013年 第3回 マリア・ヘレッロピアノコンクール 第2位(スペイン)

2014年 第24回 カンチュ ピアノ・オーケストラ国際コンクール 第2位(イタリア)

2015年 第13回 アントニオ・ナポリターノ国際ピアノコンクール 第2位(イタリア)

2016年 第14回 シャトゥ国際ピアノコンクール 第1位(フランス)

2016年 第6回 ルチアーノ・ルチア―二国際ピアノコンクール 第3位(イタリア)

2017年 第21回 ステファノ・マリッツァ国際ピアノコンクール 第1位(イタリア)

2017年 第10回 ニース国際ピアノコンクール 第1位(フランス)

2017年 第91回 レオポルド・べラン国際ピアノコンクール 第1位(2台ピアノ、フランス)

2017年 第11回 クロード・ボネトン国際ピアノコンクール 第2位(フランス)

2018年 第6回 スヴェティスラフ・スタチック国際ピアノコンクール 第4位(クロアチア)

2018年 第21回 マウロ・パオロ国際ピアノコンクール 第2位(最高位、イタリア)

2019年 第14回 アディリア・アリエヴァ国際ピアノコンクール 第2位(フランス)

2019年 第4回 日本ショパンコンクール 第1位

主な演奏歴

2011年5月 バカウフィルハーモニーとラフマニノフピアノ協奏曲第1番

2014年2月 パリのコルトーホールにてソロリサイタル

2017年6月 ニース音楽院オーケストラとシューマンピアノ協奏曲

2018年2月 クロアチア放送交響楽団とグリーグピアノ協奏曲

2018年4月 リヨンのゲーテサロンにてソロリサイタル

2018年6月 オーケストラサウンディフとモーツァルトピアノ協奏曲第23番

2019年7月 小林仁編曲 弦楽六重奏版ショパンピアノ協奏曲第2番

2019年9月 イタリア南部バルレッタにて2夜連続リサイタル

2019年12月 第177回トレモロ会主催 ソロリサイタル

2020年7月 カワイ楽器製作所 竜洋工場でのソロコンサート

伊藤順一さんにお聞きしました

Q:白井市にはどのような印象をお持ちですか?

 

白井市には、3年前に都内から越してきました。穏やかで緑も豊かで、落ち着いた街だと思いますし、音楽に集中できる、とても素晴らしい街だと思います。

引っ越すにあたり、どうしてもピアノがおける部屋が必要でした。白井市の住宅は広いので、とても気持ちよく気に入っています。

 

Q:しろいの梨はご存知ですか?

 

自宅は梨畑も近く、初めて食べた「しろいの梨」はとても瑞々しくて衝撃を受けました。しろいの梨を各方面の先生方などにもお送りしていて、大変喜ばれています。

好きな品種は、「幸水」や「秋月」です。ある先生は「しろいの梨」をお送りしたところ気に入って下さり、同封されているパンフレットを見て、直接取り寄せられたそうです。

Q:ピアノを始めたきっかけを教えてください。

 

保育園で先生がピアノで弾き歌いをする姿を見て、僕もピアノを弾きたいと言ったそうです。習い事の1つとして両親が始めさせてくれました。その後はどんどん楽しくなり、今に至りました。幼少期から自然の音や日常の音など、何でも音に興味を持ちました。そして、親戚からの勧めもあってヤマハ音楽教室に通い、ピアノと作曲を学ぶようになりました。

幼少期にはやはり友人と遊びたかった事もあり、練習は本当に嫌いでした。練習しないのなら辞めなさいといつも言われていました。でも辞めたくなくて、練習に取り組むという子供でした。今は練習、そしてピアノを弾くことが大好きです。

 

Q:7月の予備予選に臨むにあたり、心がけている事はありますか?

 

ショパン国際コンクールには初めて参加しますが、舞台上そして世界中が見ている中で、いかに普段通りの演奏ができるかを研究しています。会場を想像しながら練習することや、自分の音を良く聴くこと、また考え方の工夫で、緊張しつつも「楽しめる演奏」ができるように準備をしています。

「第18回フレデリック・ショパン国際ピアノコンクール」予備予選出場者一覧(英語・外部へリンク)で、伊藤さんが紹介されています。Aから始まりますので、I(アイ)までスクロールしてください。

Q:毎日、コンクールなどの練習で時間が足らないと思いますが、気分転換するような趣味はお持ちですか?

 

はい。幼少期から鉄道が好きです。昔、父が鉄道模型を作っていたので、線路を敷いてその模型を走らせていました。その後自分でも模型を作るようになり、スプレーで色付けしたり行き先表示を貼りつけたりもします。最近、北総線の模型も作りました。そして留学を機に飛行機も好きになったり、、、結局乗り物全般が好きですね。

また、ピアノで気分転換もします。集中力が切れた時は一旦今の課題から逸れて、オーケストラの曲がピアノ1台に編曲されているものがあるのですが、それをオーケストラを想像しながら弾いたりもしています。

 

Q:ショパン以外に好きな作曲家や演奏者(ピアノ以外でも)はいらっしゃいますか?

 

フランスの作曲家ラヴェル、ドビュッシー、フォーレは大好きです。独特な淡い色をした音色に惹かれます。また、ショパンと同世代のシューマンやリストも好きです。

ポップスなどはほとんど聴く事はありませんが、昔のアメリカの歌手やジャズ系の曲は聴く事もあります。でも曲やメロディーを聴くというよりも、どうしても和音やピアノの音の方が気になってしまいます。

Q:楽譜をみれば全て再現出来たりするのですか?

 

はい。楽譜さえあれば、初めて見た曲でもパッと弾く事はできますし、CDなどで曲を聴くと楽譜が頭の中で組み立てられていきます。またCMや駅の発車メロディーを聞いて、音をコピーしてピアノで弾いて遊んだりもしています。それに必要な絶対音感があることは、確か中学生頃に気が付きました。

 

Q:ショパンコンクールは、暗譜ですか?

 

はい、もちろんです。ピアノソロでは楽譜を見ないことが基本です。暗譜は練習している間にいつの間にか出来ているという感じです。何曲暗譜しているか数えたことはないですが、ピアノ曲とそれ以外の曲も合わせて1000曲位は頭に入っているのではないかと思います。

Q:白井市の皆さんにメッセージをお願いします。

 

ピアノやクラシック音楽はとても難しいとか、コンサートに行くために服装をどうしようとか、余計な音を立てずにジッとしていなくてはいけないんじゃないかと、堅苦しいと思われる方が多いかなと思いますが、そんなことはありません。最近ではストリートピアノも増えてきましたし、実はクラシック音楽はテレビ番組のBGMだったり気が付かないところで流れていたりもします。入り口は様々ですが、ピアノやクラシック音楽を良いなと思って頂けるよう、取り組んでいきたいです。その中で必ずご自身の好きな曲が見つかると思います。

 

Q:白井市の子供たちへメッセージをお願いします。

 

まずピアノという楽器に触れて、「ピアノってこういう造りなっているんだ!」など興味をもって貰えたら嬉しいです。私も幼少期に先生に抱っこをしてもらい、ピアノの中の動きを見て面白かった記憶があります。

ピアノは鍵盤を押すと音が出るという単純な造りですが、弾く人によって音が変わる不思議な楽器です。ピアノなら伴奏しながらメロディーを弾き、時には同時に歌う事もできます。なんでもできちゃう!事が面白いと思います。

謝意:経歴にもあるように、文字通りの世界的ピアノ奏者である伊藤さんは、とても穏やかで優雅なお人柄で、お話していると和やかな気持ちになりました。

取材後には、ショパンなどピアノで演奏くださり、とても心に響く贅沢な時間を過ごさせて頂きました。編集者のような音楽素人には分かりませんでしたが、会場の音響スタッフの方は、「やっぱり音の響きが全然違う。すばらしい!」と感想を仰っていたことが印象的でした。

世界で活躍するピアニスト伊藤さんに、取材でお会いできたこと、心より御礼申し上げます。