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令和6年能登半島地震被災地支援に出動した市職員2名が、笠井市長へ現状報告

現状報告を終えた職員お二人に、災害や防災に備えて白井市に必要なことを伺いました

令和6年能登半島地震により甚大な被害を受けた石川県珠洲市への支援要請が千葉県からあり、1月19日から23日までの期間、支援のために市職員2名が現地に向けて出動しました。

 

支援に出動されたのは、危機管理課の内田危機管理監と高橋主事です。

帰着後、笠井市長へ地域の現状などを報告

笠井市長、山下副市長へ、内田危機管理監(右から2人目)、高橋主事(右端)が、帰着報告と石川県珠洲市での任務に関して報告

報告を受けて笠井市長は、次の様に指示を出されました。

 

「今回の能登半島地震を目の当たりにしたことを受けて、白井市に何が必要で何が不足しているのか、マニュアル作成の再度見直しを徹底し、自助・共助の面において何が必要なのか、様々な準備を今からしなければなりません。」

 

「市内にある備蓄品がどの程度カバーできているのか、どういうものが不足予測されるのか、各地域を分析しながら見直しをしてください。」

 

「市民のみなさん、地域のボランティアのみなさんに負担をかけるわけにはいきません。市職員は地域の核とならなければなりません。地域で機動するために、どのような行動をとらなければならないのか、わかるように経験を職員全員に共有してください。」

被災地支援に出動した、お二方にお聞きしました。

(左)内田危機管理監、(右)高橋主事

Q:今回の任務でどのように感じられましたか?

 

内田危機管理監:私の任務は、災害支援本部の調整チームとして着任しました。その事で珠洲市の対策全体を掌握することができました。今回の珠洲市と同じような現象が白井市にも発生することが予想されます。それは「住民と職員の防災危機意識」です。

 

少なからず「自分のところは大丈夫だろう」「自分は大丈夫だろう」というような気持ちがあります。実際に災害が発生してしまうと、行動にすぐに移せないのは住民の方だけではなく、市の職員の危機管理意識も同様だと思いました。

 

笠井市長からもお話しがありましたが、災害対策の基本である「地域防災計画」を作成しておりますが、今回の災害支援での経験とも照らし合わせ内容をもう一度見直して「普段どうすれば良いのか」「住民の方はどうすれば良いのか」「市としての体制、特に即応体制をどうすれば良いのか」をしっかりと見直ししなければなりません。

 

高橋主事:私は避難所運営サポートチームに着任しました。赴任した地域の方々は、海に面している地区と山間部の地区があり、海側の地区の方たちは東日本大震災のこともあり防災意識も違いました。

 

毎年珠洲市が運営する避難訓練に参加されているそうですが、それとは別に各地区独自の防災訓練を行い、海側の地区の方の意識が東日本大震災以降少しずつ変化し、「防災訓練への参加率も上がっている」と区長さんのお話で伺いました。

 

山間部の地区の方は周囲が山であることで、「この地区は大丈夫だろう」という意識があり、地区によっても差が激しいと感じました。

 

「自助・共助・公助」で地域のみなさんは(共助)として、市では(公助)として避難所運営を実施していることを地域内に伝え、自助として地域の人たちが準備した方が良いことを見極めながら、避難所運営マニュアルを市職員らがしっかり作成し、市民の方が見てもわかるように、防災マニュアルの準備をしておかなくてはならないことが一番重要になると考えました。

 

Q:避難所の現状はいかがでしたか?

 

高橋主事:着任した避難所は二地域の方だけで運営していた避難所でしたので、区長さん同士が話し合いで決定することにより、区長さんの負担が多くなってしまいます。この地区の区長さんは3週間ぐらい帰宅できず、椅子で寝るという状況でした。

 

我々市職員がそうなることは致し方ありませんが、市民の方やボランティアの方に負担がかかってしまうと、二次被害にもつながります。自助・共助いただくこともありますが、市職員の我々がしっかりサポートをすることが必要だと思います。

 

この地区の皆さんは、とても強いつながりがあるコミュニティで、皆さんが顔見知りで炊き出し等もされていました。改めて白井市内地区の実情を理解して、公助サポートしながら各地区での事案・事例などをお伝えすることで、自助・共助とのバランスが保てるのだと思います。「早期に補給されるもの・補給されないもの」の情報を共有をすることで、不足するものを予測して備蓄しておくなど『情報』がとても必要だと感じました。

 

内田危機管理監:避難所運営は弱者救済に着手することに重きを置かなければなりません。要介護者、障がい者、乳幼児、妊婦等ですが、市の指定避難所に今どういう方が避難しているかをしっかり掌握しなければなりません。

 

「避難所にどういう避難者がいるのか」状況の把握は不可欠です。珠洲市の避難所では、避難所運営をしている方が既に疲労困憊し、限界でなんとかしてほしいとの情報がありました。また避難所の現状を調べたところ要介護者の方が2人いらっしゃいました。この避難所には自衛隊のお風呂「入浴支援セット」が展開されていましたが、要介護者の方は自分で体を洗うことができないので、一度も入浴できなかったことがわかり、すぐ自衛隊と調整をして要介護者のためのお風呂の椅子を用意して、ようやく3週間ぶりに入浴してもらうことができました。

公助(市)は震災発生後の3日間は人命救助を最優先にします

Q:重要な備えは何だと思いますか?

 

一番重要なのは、大きな地震の揺れから自分の命は自分で守る自助、自分たちが住んでいる地域は自分たちで守る共助の実践で、被災者(避難者)にならないための普段の備えが重要です。そのため自主防災組織を立ち上げ自分たちが住んでいる地域は自分たちで守れる活動を継続していく事が一番重要です。しかし、白井市全体としてはまだ不足していると感じています。

 

公助(市)は震災発生後の3日間は人命救助を最優先にしますので、どうしても地域の方々が助け合い避難所を運営しなければなりません。運営そのものを地域にお願いせざるを得えませんので、それをしっかりと理解をしていただき、各小学校区でいろいろな自主防災会が集まって、小学校区として避難所運営ができるように、普段からの活動と災害時の活動をしていただければありがたいと思っています。

 

Q:被災地支援に出動され、感想をお聞かせください。

 

内田危機管理監:国内で発生した今までの災害の教訓があるので、今は国からの応急対策職員派遣と応援物資の流通は早いと感じました。例えばトイレですが、トイレカーという車両は全国各地にあります。各避難所の方へ出動でき要配慮者も利用できる洋式設備も整っています。1台のトレーラーに2室で、男性用・女性用で利用できるトイレカーを展開してもらっています。しかし到着するのには道路状況を考えると1週間後ぐらいからです。

 

被災地までの道路が復旧しなければ入れませんので、最初の1週間が非常に大事なんです。それまでは地域で凌げるようなトイレやシャワー等々の資材を、まず市でしっかりと備蓄しておかなければなりません。珠洲市も震災後1週間以降は、温水シャワーなども各避難所に入ってました。今は国からの応援が早くなっています。ただし、早くても避難所に来るのが1週間後なので、それまでは市または地域で過ごせるかということを、しっかりと考えていかなければいけないと強く感じています。

 

過去の震災被害に遭われた地域の避難所では、小学生高学年の生徒や中学生・高校生の生徒さんが「お手伝いしますよ」と申し出てくれることもありました。白井市でも、中学生にも防災訓練に参加してもらっています。中学生はすごく賢いので、我々が求める以上のことをやってくれます。今後は地域防災力の向上のため中学生が自主防災組織に入り活動していける体制づくりを進めていきたいと思っています。

 

高橋主事:私は市職員になって4年です。東日本大震災の時も中学生で、阪神淡路大震災の時は産まれていませんでした。熊本地震の時には、まだ職員ではありませんでした。昨年プライベートで金沢市に行きましたので金沢市は変わってないなと思いましたが、志賀町から能登半島に近づくにつれ、被災地域を自分の目で見て言葉がなくなりました。

 

記録写真も撮ろうと思ってはいましたがカメラを構えることすら躊躇しました。テレビなどのメディアで見ていた、震災現場を直接自分の目で見ると全然違いました。私たちは支援として行くのですが、途中で寒いとも言いたくありませんし、お腹すいたとか、何か食べたい、喉が渇いても絶対に言わないようにしようと思えるほどでした。

 

災害支援任務が終わり、白井市へ帰る前日、珠洲市役所を出て金沢市の宿泊先に辿り着き、温かいシャワーを浴びた時には恥ずかしい話ですが泣いてしまいました。

 

白井市から100キロ違うだけでも本当に生活が違います。私たちが普通に生活できることが恵まれ、お風呂に入り温かいお湯に浸かれることが、こんなに恵まれていることなんだと感じました。

高橋主事:地域コミュニティ力が一番重要だと思います。地域のみなさんが、老若男女問わずみんなで助けあうことが、とても重要だと感じました。

白井市地域防災計画(令和4年度修正) 

 

出典:白井市ホームページ

Q:これからの市の災害・防災対策をどのように考えていますか?

 

内田危機管理監:地域防災計画というのは、災害を少しでも少なくするための「予防計画」「発生時の応急対策」「復旧・復興」という三つに区分して計画しています。一番重要な事は予防計画です。普段から被害を最小限に食い止め、白井市民の命と財産を守れるのかに重きを置いて、内容を分析・検討をし計画しただけではなく、ソフト・ハード面の備えの実行に移していけるようにしていきたいと思っています。

 

高橋主事:危機管理課は実際に災害が起きた時、被災地域へは行けませんので、他の職員に対して実働事例をしっかり伝え、実働マニュアルの作成や、作業マニュアルを作り込んでいきます。まずはこの手順などを市職員が、職員として「やるべきこと」「やらなければならないこと」をしっかり理解をしてもらえるように用意します。実際に被災地を見た経験のある者が発言することで伝わり方も違うと思いますので、しっかりと取り組んでいきます。

 

内田危機管理監は様々な個別計画作成に取り掛かっていますので、それに合わせて、実際に避難所を運営していく事について、私の経験と知識を他の職員に伝えられるよう早急に用意していきたいと思います。

 

内田危機管理監、高橋主事、ありがとうございました。

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。