幼稚園・保育園のご紹介
白井市の保育の現状や今後の取組みについて
白井市のこれからの公立保育園が担うべき役割と体制を調査・審議する「白井市公立保育所の役割及び体制検討委員会」が設置され、4回目の委員会が2023年11月10日に開催されました。これからの公立保育所に求められる役割・機能や、今後の体制について検討を行います。
開催後、委員長を務める川村学園女子大学教授の手塚 崇子さんに、白井市の保育に関する現状や今後の取組みについてお話を伺いました。インタビューの様子はこちらからご覧ください。
・インクルーシブ教育について
・白井ふじこども園(社会福祉法人いづみ職員による説明)
・公立保育園の課題の整理
等が話し合われました。
【検討内容】
本市の公立保育園は、大規模施設の特性を生かして、長年、待機児童対策の中心的な担い手として受け入れを進めてきましたが、民間保育施設の充実や社会情勢の変化とともに、公立保育園に期待される役割も変わってきています。これからの保育園に対するニーズを適切に捉え、公立・私立各保育園の課題を解決しながら、市全体の保育の質や専門性を重視した保育体制を構築するため、公立保育園の担うべき役割と体制を検討します。
※出典:白井市ホームページ
白井ふじこども園(外部リンク)では、児童発達支援施設「てんでんこ」を令和4年12月に開所し、活動について報告がありました。
利用する子どもを主体と考え、子ども自身が楽しいと感じてもらえるようこども園と、てんでんこが連携を取り集団生活をおくれるようにサポートし、子どもの状況を最優先に考え保育及び療育を行っていくことを基本としています。
※出典:「てんでんこ」配布資料より一部抜粋
白井市公立保育所の役割及び体制検討委員会で委員長を務める手塚崇子氏
川村学園女子大学教育学部幼児教育学科
手塚 崇子教授(明治大学政治経済学部及び帝京短期大学こども教育学科非常勤講師)
【担当科目】
子ども家庭福祉、保育者論、コミュニティ福祉論、社会福祉・社会的養護I・II、子どもの福祉と行財政、保育実習演習II(施設)
【研究分野・テーマ】
保育に関する行財政制度、自治体における子育て支援の調査研究
幼保一体化施設・認定こども園に関する調査研究、保育園の組織・育成等
保育現場と市町村担当課との連携
【研究業績・著書・論文などの紹介】
《著書》
・手塚崇子(2014)『幼保一体化施設の運営と行財政ー就学前教育・保育の一元化をめぐってー』(単著)専修大学出版局
・手塚崇子 他(2020)『新・子ども家庭福祉~私たちは子どもに何かできるか~』浦田雅史編 教育情報出版
《論文》
・手塚崇子(2023)「新型コロナウィルス感染症に対する保育所の危機管理についてのー考察ー緊急事態宣言下における自治体担当課と保育所の連携についてー」『川村学園女子大学研究紀要』第34巻、pp.33-100
・手塚崇子(2023)「保育所と市町村との連携による課題の共有ー保育の質の向上と子どもを社会で育てることを目指して」市川房枝記念会『女性展望』2023.3-4月号(VOL.721)pp.11-p13
・手塚崇子(2021)「保育の質を担保する保育士の養成・育成・研修」東京自治研修センター『るびゅ・さあんとる』第19号pp.31-45
その他多数。
※出典:川村学園女子大学ホームページ
Q:先生のご専門を教えて下さい。
私は子ども家庭福祉関係が専門です。人口の少ない地域ですと自分のまちの子どもは自分たちで育てるという意識がとても強いです。例えば保育園がない地域や、幼稚園か保育園どちらか一つにする時に、両方の機能を残しておきたいという住民の希望を叶えるために、必ず現地で内容を伺い研究してきました。
実際に現地でお話をお聞きしてみると「いや、AよりBとかCの問題の方が大変だよ!」など、「私が思っていたものよりも、もっと現場では違うものが課題だったんだ」と気付かせていただくことや、逆に教えていただくことがとても多いです。現地でお話をお聞きして、地域の雰囲気なども兼ね研究を続け、学生さんに伝えてフィードバックしてきました。
白井市には10年ぐらい前から市民活動関係や総合計画で、保育関係で関わらせていただいています。そのような中で、白井市の保育のことをもっと知りたいと思うようになりました。
2年前に「サバティカル」という研修期間を1年間大学からいただき、白井市に週何度か来させていただいて、健康子ども部に席を置かせていただきました。特に保育課で保育園での課題であったり問題がある時に、市職員の方と現地に行き、現地の保育士さんの話を聞かせていただいたりなどして、どういう課題が公立保育所にあるのかを、その時から一緒に考えさせていただいています。
「どういうことからトラブルになっているのか?」「そのときに保育園としてどのように対応したのか」をリサーチして、保育園の様々な連携問題なども学ばせていただきながら、この課題を子どもたちのために良くしていくために何かお手伝いできたらと思っていました。
今回この役割体制検討委員会に参加させていただいた事で、少しでも皆さんと一緒に実現できたらと思います。
Q:白井市の保育園について現状をどのように見ていますか?
公立保育所の定員が多くてびっくりしました。他市でも子ども園を運営しているところで150人や200人のお子さんが通園され、保育士の人数も何人いるかわからないぐらいの園にも伺ったこともあります。公立が待機児童対策のために定員を増やして、ある一定の役割は果たしてきたと思いますが、子どもの定員が多い園では保育士の数を多くしなければいけません。
しかし定員管理の関係もあり正職員も一定数しか採用できません。会計年度職員、任期付職員、派遣職員などいろいろな働き方の方々がいらっしゃるから運営はできていますが、業務内容が複雑化してしまっている事をすごく感じて、ある程度適正な子どもと職員定員は必要ではないかと思います。
認可保育園の定員は60人からです。本来60人は少ないと思われるかもしれませんが、白井市の現状150人とか140人は保育園の規模としては多すぎではないかと感じています。
保育園定員が多いと保育士の人数が必要になります。私立保育園では保育士の確保と経営の問題などもありますので、どうしても公立保育所がそれを担わなければなりません。
待機児童対策だけではなく、配慮が必要なお子さんをたくさん受け入れてきたことも、公立保育所が果たしてきた役割であると思います。今まで大きな怪我もなく、保育士の先生方の努力も並み大抵な事ではないと思います。
Q:現代の幼稚園と保育園の違いとはどんなことですか?
私の専門分野です。
歴史からお話ししますと、明治9年(1876年)幼稚園は東京女子師範学校附属幼稚園(現在のお茶の水女子大学附属幼稚園)として創設され、富裕層のお子さんが行かれるところでした。
保育園の最初の始まりは、野口 幽香(のぐち ゆか)と森島 美根(もりしま みね)によって東京・四谷にもあります、二葉幼稚園を創立したことに始まります。貧困層の子どもたちにも同じように教育保育をしたいというところから始まっていますので最初の違いはあると思います。
幼稚園は通常4時間で降園します。働いていらっしゃる家庭のお子さんは、そこに行けないことになります。
1997年「預かり保育推進事業」ができ、国が補助金を出して幼稚園でも預かり保育をすることで、地域の子どもたちの子育て支援をすることになり、例えばパートさんなどの子どもさんを、預かり保育の可能な幼稚園でみることができるようになりました。
幼稚園は教育、保育園は生活というように「昔は」いわれていましたが、保育園は教育と保育をするという「保育所保育指針」にも記載されています。
就学前の保育には、幼稚園を運営するための「幼稚園教育要領」、保育園を運営するための「保育所保育指針」、幼保連携型認定こども園を運営するための「幼保連携型認こども園教育保育要領」が同時改定されました。保育園には3歳未満の子どもがいるところなので「養護」が大事だといわれています。
「養護」とは、子どもの生命の保持と情緒の安定ということであり、子どもが自分の気持ちを表現したことを保育士が感じとり、おむつを替えると子どもが気持ちよくなるようなことを行うことが保育の大事なことで、その子がすごく落ち着くような声かけをする、ということも入っています。
幼稚園と保育園は同じか違うのかでいうと、いろいろな意見があると思いますが、共働きが多くいる現在の日本で、親の働き方で子どもが受ける教育保育が違うというのは時代錯誤だと思います。子どもを中心に考えることが大切です。
Q:保育園はどうあるべきだとお考えですか?
子どもは家庭にいるよりも、保育園にいる時間の方が長いので、その時間に子どもが安心したり、保育士や子どもと一緒に居ることが楽しかったりすることができる場所であることが、一番大事だと思っています。保育士が今日の出来事を降園の時に、保護者の方に伝えて、保育士と保護者が一緒に子どもを育て、連携して育てて行くことが保育士の役割であると思います。
保護者の方は忙しくて帰ってきて、ご飯作って食べさせて、お風呂に入って寝かせてと、その時間は目まぐるしいと思います。だからこそ、子どもたちの何かすごくちょっとした成長、もしかしたら見逃してしまうようなことを保育士が伝えていくことによって、子どもの成長を保護者の方に伝え、ともに喜び合えるといいなと思います。
Q:公立保育園の役割とはどういうことでしょうか?
時代とともに今後も変革していくのではないかと思っています。考えてみれば私立よりも公立の方が長く勤めていらっしゃる方が多く、ある意味経験値が高い保育士がいらっしゃると思います。白井市では保育士が移動されたりして、白井市発達センターや保育課に行かれることもあります。そういう意味では配慮が必要な子どもについては、発達センターで何年か学んだことを園に持って帰ってきて、また他の保育士に伝える役割を担ってもらえたらと思います。公立では長く勤めている方は、配慮が必要なお子さんを見ていた経験もありますので、配慮が必要な子どもの支援についての経験が豊富であると感じます。
白井市の公立にはスキルアップ等の認定制度が今のところはないと思います。保育のスキルを磨いてもらって、そこで何かしらのキャリアアップしていただければ、ある年齢になって主任になり「主任ってどんな業務なのかわかりません」だと、本人も周りの人も困ってしまうと思いますので、主任はどういう役割をするのか、副園長とはどんな役割なのかを認識してもらうためにも、キャリアアップのためのカリキュラムを白井市と一緒に考えて、それが実現できれば、きちんと学んで専門性を身に着けていくことができればと思います。
Q:役割体制検討委員会の役割はどういったところにあると思われますか?
まずは公立の現状を会議に参加されている皆さんに良く知っていただくことです。公立だけではなく、私立との共通の課題もありますので、それも併せて知っていただくことによって、今までの白井市の公立保育所が担ってきたこと、これから担った方が良い役割があれば、それも加えていくことによって、オール白井で考えられたらと思います。
白井市では役割体制検討委員会とは別に、「保育士の魅力ある働き方の推進の取組み」も2023年度から開始し、現場で働く保育士の先生方が集まって、それぞれの日々の保育について考える試みもあります。役割体制検討委員会では公立保育所のことを考えていきますが、保育所の定員が多かったり、保育士にも様々な種類の働き方がありますので、混乱してる現状をなるべく解消したいと考えています。
一番大事なのは知ってもらうだけではなく、詳しくわからず委員会が終了してしまった、ということのないようにしたいと強く思っています。現場の先生たちが委員に入ってますので、公立保育所のこと私立保育園のことも話をしてもらった上で、「公立がどういう役割を担うことが求められているのか」を考えていきたいです。
Q:市内の保育園の特徴的な取り組みで驚いた事はありますか。
サバティカル中に行かせていただいた「ひまわりこども園」は自然を使って、園舎の中も大きいわけではないものの、とても工夫をされていらっしゃると思いました。もう一件は最近できた「白井ふじこども園」です。今まであった既存の保育園の隣に、児童発達支援事業所を併設したということで、子どもたちが保育園に行きながら、療育を受ける時間だけ併設する建物に行くことで子どもの環境を変えなくて済みますし、保護者もいわゆる保育園のお迎えと同じで、わざわざどこかに連れて行かなければ療育を受けられない、お仕事を休んで療育の日はいかなければならないこともなく、受けられるという仕組みはすごくいいと思いました。
最初保育士は大変だと思いますが、子どものこと、保護者のことを考えるとその方法で事業所が保育所に併設されてることはとても良い試みだと思います。
Q:役割体制検討委員会をどのように進めていこうとお考えですか?
他市での先行事例なども参考にしながら、時には見学に赴いて白井市でできることを模索していきたいです。どこの保育所でも発達に課題がある子どもの支援については非常に問題になっていて、保育の中でどう対応していくかということもあります。発達に課題を持った子どもの保育過程を除いては考えられません。全国的に増えていますし、積極的に取り組んでいきたいと思います。
Q:市民の皆さんにメッセージをいただければ嬉しいです。
役割体制検討委員会を進行するあたって、どういう保育が求められてるかを私たちも考えていますが、ご意見があればぜひお寄せいただきたいです。
公立、私立保育園に期待すること「こんな公立保育所だったらいいな」や「白井市の保育園にこういうことがあったらいいな」「こんなことをしてもらえると助かるな」「こんなことをしてもらえて助かりました!」ということがあれば、それをお寄せいただけると現場の先生もとても喜びますし「関わりがとても大事なんだ」という思いにも繋がると思いますので、白井市保育課までお寄せいただければ幸いです。
いただいたご意見も参考にしながら検討課題としてすすめたいと思いますので、ぜひお寄せいただければと思います。
手塚委員長、ありがとうございました。
【ご意見をお聞かせください】
健康子ども部 保育課
白井市復1123番地
電話:047-492-1111
ファックス:047-492-3033
ホームページからのご意見はこちらから
取材日:2023年11月10日
白井市公立保育所の役割及び体制検討会委員会が発足時の記事は以下からご覧いただけます。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。