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白井の史跡・文化財

白井市指定文化財「今井の水塚」を取材しました。

水塚とはどのような建造物なのでしょう?

白井市今井の「今井の水塚」という白井市指定文化財をご存知でしょうか?

 

これまでも幾度となく、先人の防災意識と知恵として各メディアで取り上げられました。今井地区には今でも11ヶ所存在し、白井市指定文化財として7ヶ所の水塚が各家の敷地に存在しています。

 

今回は、今井養鶏場「今井のたまご」を経営されている今井さんにご協力を頂き、敷地内にある水塚を取材させて頂きました。

白井市指定文化財「今井の水塚」

今井地区は江戸時代に手賀沼を干拓して生まれた集落で、標高3m前後の低地に位置します。そのため、手賀沼に排水機場ができるまでは水はけが悪く、大雨が降ると川や沼の水位が徐々に上がり、何度も水害にあってきました。最近では昭和13年(1938年)と昭和16年(1941年)に水害があり、その時は家の床下を魚が泳いでいたといいます。水塚は水害対策として造られたもので、家の敷地よりも一段高く盛土し、その上に建物を建てました。建物の中は畳を敷くなど人が住めるようになっていて、普段は米を収蔵したりしていますが、洪水の際には家財道具を持って水塚に避難し、水が退くまで何週間にもわたって水塚で生活をしました。水塚は利根川周辺など低地に分布しますが、白井市内では今井地区だけに残るもので、水害の歴史を今に伝える貴重な文化財です。【出典:白井市教育委員会文化財解説シート 9】

 

※文化財解説シートは白井市郷土資料館で入手することができます。

水塚とは、河川や湖沼の氾濫から生活を守るための建造物。端的に言えば、「蔵」であり「避難場所」としてこの地域ならでは。

手賀沼は中世まで「手賀浦」と呼ばれ「香取の海」という湖の一部だったことが知られています。江戸時代、幕府は東京湾に流入していた利根川を、銚子を経て太平洋に至る流路へと改変する工事を行い、承応3年(1654年)に完成しました。翌年明暦元年(1655年)、江戸の商人たちが手賀浦の開墾を請願し、寛文11年(1671年)に今の利根川沿いに土手を築き、手賀浦を分断した結果、手賀沼が誕生しました。手賀沼沿岸の23カ所では、台地の掘削などで得た土砂を用いて沼を埋め立て田畑とする「手賀沼新田」と称される新田開発が始まりました。その一つが、今井新田(現在の今井地区)です。

出典:白井市教育委員会『歴史のしずく』「今井新田と水塚」より一部抜粋

 

白井市役所ホームページ「白井市の歴史」

盛土は確かに周囲より高くなっていますね。この盛土の上に水塚が建っています。

市内小学校からも見学に訪れ、見たこともない文化財を目の当たりにするそうです。

「田船」は田で使用したり、川を渡るために使用した事もあったそうです。

水塚の中はご主人が整理整頓され、歴史博物館のようです。

ご主人は白井市の語り部として、訪れる子供たちへ語り継ぎ、日本の歴史物語を後世へ伝えるべく、全ての品々が見やすく整頓されています。

現代の子供たちがこれらを目の当たりにして、何を想い記憶に留めて成長するか楽しみです。

ご主人の曽祖父からの直筆手紙も残っています。旅行訪問先での出来事や費用、食事の内容が細かく記されていました。

戦時中赴任していた満州からの手紙もあり、この様な手記を拝見すると、いつも思います。先人の方々の手記は達筆で、その時代を一生懸命に生きておられたのです。

「携帯用照明具」「小田原提灯」の文字。提灯は蛇腹で、引き伸ばして中にロウソクを入れ照明にしていたのだそうです。

今井にはこうした日本の原風景が手付かずそのままに。車が走らなければ風の音しか聞こえません。

とても穏やかな風景に心も身体も癒され、とても気持ちの良い景観が広がっています。

今井さんの敷地にも、道沿いにもこうした花々も、生き生きと咲き誇っています。

今井地区は白井市と柏市の市境にあり、自然豊かな田園風景が広がった、とても気持ちの良い環境です。地域の方々はこの地域を大切に保存しようとされています。国重要文化財住宅や、「今井の桜」としても有名な地域で、市内外から多くの方々が桜見物にも訪れる地域ですが、観光地ではないため駐車場などは一切ありません。この地域を訪れる際には、地域の方々へのご配慮をどうかお願い致します。白井市循環バス「ナッシー号」(北ルート)(外部サイトに移動します)のご利用をお勧めします。白井市の歴史探訪、おもシロイ!

 

今回の取材にご協力いただきました今井さんに、心中よりお礼申し上げます。

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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