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きらめく人たちにインタビュー

【取材記事】駒村 武夫さん(株式会社ソフケン代表取締役)令和5年春の叙勲「旭日単光章」受章

令和5年春の叙勲において「旭日単光章」(きょくじつたんこうしょう)を受章した駒村 武夫さんを取材しました。

駒村 武夫さん

株式会社ソフケン(本社:千葉県白井市)代表取締役

勲章の種類及び授与対象
明治8年4月に「勲章従軍記章制定ノ件」(太政官布告第54号)が公布され、これが現在の旭日章の基になったもので、我が国の勲章制度の始まりとなっています。以降、明治9年に菊花章、明治21年に瑞宝章と宝冠章、また、昭和12年には文化勲章が制定されました。

※出典:内閣府ホームページ

「旭日単光章」受章に至った経緯

駒村さんと奥様(左から5番目)~東京プリンスホテルにて~

今回の表彰には全中央省庁から日本全国で4,002人の方々が受章したのですが、その4,002人の受章者というのは、各省庁別に割り当てられているのだそうです。私の受章に担当していた省庁は経済産業省の中小企業庁というところで、推薦枠に選んでいただきました。我々は「ものづくり」をしていて、経済産業省の中でものづくりの受章枠が62名なんです。

 

その根幹になったのは、経済産業省が発表する「はばたく中小企業・小規模事業者300社」で令和元年の国内中小300に選ばれたことが第一ステップのようです。過去の業績などが基準となっています。株式会社ソフケンを昭和58年に創業して以来、40年を超える今日にいたるまでの資料を提出しました。

 

もう一つの要件が、春の叙勲を拝受するには70歳を過ぎている経営者で、公共的な活動もしている、例えば工業組合の組合長などもそうですね。その間に会社の活動状況、特許の取得状況、いろいろ活動してきたことについて報告を求められました。

 

自分では「なぜ表章されるのか?」ってというくらい、自分では分からないところで評価されるのだろうと思います。自分の仕事以外に、例えば地域貢献とか、まちのゴミを拾うこともそうですが、周囲に認めていただけるようなことをしていたからだと思います。単に会社の業績だけではないんですよね。

 

私は白井市商工会、工業団地協議会、市社会福祉協議会などの役員も歴任しています。自分の仕事を持っていると、このような公的な役職には「ちょっと時間割けないなぁ」って思うことがあります。推薦をいただいた後、「自分の時間を割いて、公的な役職をどう務めましたか?」「いつからいつまで何をしてましたか?」などの質問を受けました。新型コロナ感染禍ということもあり、活動内容の報告はヒアリングではなく全て文章で提出しました。

「何でこの私が」という思いでいっぱいでした。

 

「旭日単光章」受章について、白井市商工会を通じてお話しをいただいた時には「何でこの私が」「なぜ表章されるのか?」という思いでいっぱいでした。

 

受章するにあたって「受けますか?辞退しますか?」と聞かれました。そうなんだと思って、妻に聞いたんです。「辞退もできるよ」って...。妻は「辞退したら」って(笑)。

 

妻も私の考えと同じで「なんで? なんで私たちが受章するの?」

全てが荘厳であり、全ての国民の労をねぎらい称える政(まつりごと)

受章者の集合場所は東京プリンスホテルでした。そこで経済産業省の腕章をつけた方々に、勲章をつけていただき装束を直していただきました。その後に書類を渡され、皇居の「一般参賀」が行われる建物へバスに分乗して向かいました。そのバスの中で隣り合わせた方は京都の元京鹿の子染(きょうかのこしぼり)振興協同組合長でした。「ものづくり」の方々ばかりのグループで皇居に向かいました。

 

バスを降りて建物に入り「春秋の間」に案内されました。15人ぐらいが13列で一度に入って直立して待っていますと「15分後に天皇陛下がおでましになります」というご案内がありました。

 

春秋の間にはものすごく大きな障子が並んで取り付けられています。私の方から見て左端の二枚の障子がスーッと開きましたら侍従の方が入ってこられ、陛下を迎え入れるために立ち止まられました。すると陛下が入って来られて、中央にある低い演台にお昇りになりました。

 

受章者の代表者が受章のお礼の言葉を述べますと、それに対して陛下から「労いのお言葉」をいただきました。そして演台から降りられ、最前列の方一人ひとりにお言葉をかけてくださいました。受章者の中には体が不自由で車椅子や椅子に座っている方たちのグループがあり、その方たちにもお言葉をかけられました。

 

その後、大きな障子がスッと開き、そちらに進まれました。障子の前で私たちの方に向き直られて一礼をされたあと、踵を返して障子の向こうに戻っていかれました。

 

授賞式が終わるとグループごとに退室をするんです。そのグループ全員が春秋の間の下階に移動し、記念撮影がありました。

記念撮影の後ホテルに戻ったのですが、印象深かったことがあります。

この後仕事に向かわれるらしく、モーニング衣装を脱いだ後、奥さまと一緒に作業着に着替えている方がいらっしゃいました。びっくりしました。みなさん大変なんだな、そういう方が受章するこの仕組みは、とてもいいなと思いましたね。

地域の方のために見えないところで活躍してる人こそ称えられるべき!

 

授章式の後に聞いたのですが、受章者推薦することも可能とのことでした。

 

街なかで、朝も夕方も掃除をしている方がいらっしゃいます。地域の方のために見えないところで活躍している方もいます。そういう方々を推薦できると思います。

 

受章者には民生委員の方が多いんですよ。国勢調査員を長くされている方々も対象になっています。50年間ずっと国勢調査に協力して一軒一軒訪ねている方もいらっしゃいます。推薦されないと駄目ですけど、皆さんに認められた方であれば、地域貢献や社会貢献をしている自治会長さんなども対象になっています。

 

割に合わない仕事、例えばものづくりでもある特定の技術を伝承するために、見えない努力をして世界に冠たる作品を制作された方とかも受章に値するんじゃないですか? 損得を考えずに必要なことを、地道に長くやり続けるって大変な努力です。

 

そういう人を見出す人を「名伯楽」って言いますよね。どんなに優れた人がいたとしても、名伯楽がいないといけませんね。

 

駒村社長、ありがとうございました。

 

取材日:2023年8月22日

株式会社ソフケンとは

徒手空拳(としゅくうけん)で紙と鉛筆だけで起業して開発した指先に付ける指圧補助具「ユビラーク」で種銭ができ、その後は前開き式のポスターフレーム「ソフケンフレーム」など、暮らしに役立つものづくりをしている会社です。

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白井市河原子240

047-498-1111


謝意:株式会社ソフケン駒村社長は、気さくでいて細部にまで気遣いをするものづくりの人でした。授賞式のくだりでは、自分も一緒に春秋の間に入室し緊張すらしてしまうほどの話術には感銘しました。本記事でその雰囲気が伝わっていれば嬉しいです。その他の話もとても楽しく豊富で、つい色々な事について教えを請いたくなる人格者でいらっしゃいました。お忙しい中取材をご快諾いただいた駒村社長ならびに株式会社ソフケン関係者の皆さまに心からお礼申し上げます。

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。