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きらめく人たちにインタビュー

【独占取材】白井市出身の誇りを胸に…レーシングドライバー澤 圭太さん

澤 圭太さんはフェラーリの海外チームでル・マン24に参戦した初の日本人レーサー。今でもレーシングドライバーとして指導者として活躍しています。

白井市に所縁のあるドライバーがいるとの情報をつかみ、取材をお願いしたところ快く受けてくださいました。澤 圭太(さわ けいた)さんです。

レーシングドライバー 澤 圭太さんにインタビュー!

ものまねタレント“ホリさん”と同級生で、社会人になってから友人を通じて再会したそうです。と、いうことは“じねんじゃー”も同級生ですね。

Q:白井市に住んでいらっしゃったのはいつですか?

1976年野田市で生まれ、3歳の頃まで南柏に住んでいました。北総開発鉄道(現北総鉄道)北総線が開業してすぐの頃、千葉ニュータウン第一期入居の際に白井市(当時:印旛郡白井町)に転居して、まどか幼稚園、清水口小学校、七次台中学校、船橋市内の高校に通い、24歳で結婚するまで清水口に住んでいました。

 

清水口団地の自宅から撮った風景の写真を残してあります。七次台の造成前にあった神社の写真などもあります。まだ七次台ができていない時代ですね。たぶんそのマンションからだと、周囲に高層マンションができて、当時の場所から見えた富士山も今は見えないですね。今でも七次台周辺を通ることもありますよ。

 

Q:レーサーの世界は、子どもの頃から夢見ていたんですね?

去年6月に実母が他界して、その後に昔のものを物色していると清水口小学校卒業文集を見つけました。文集にはレーサーになると書いてありましたね。ちょうど夢を見始めたぐらいの時です。

住んでた当時は「田舎だな」と思いました(笑)!

ニュータウンに住んでいましたので、梨畑が多くてすごく環境は良かったです。子供の頃は、すごく風の強い日が多く、周囲に建物がないので団地に当たって風が強くなるのかなと思っていました。周りには畑とか梨畑が多いから風が強いと土ぼこりがすごくて、髪がぼさぼさになったりするのでそれが嫌いだったんです(笑)。

 

白井市といえば千葉ニュータウンができたことによって、大きく変わった自治体だと思います。千葉ニュータウン第一期の入居者として3歳の時に入居して、「まどか幼稚園」に通っていました。園歌はいまだに歌えます! 色々な思い出が詰まっている場所なんです。高校卒業して社会人になってレースやるために働いて、結婚するまでずっと清水口団地に住んでいました。自分の若い時のいろんな思い出が詰まったまちです。

2016年「ル・マン24時間耐久レース」初参戦

2002~2003年は全日本GT選手権、現在SUPER(スーパー)GTと言われているレースに出場していました。それ以来、20年間ずっと走り続けています。

今年2023年、マクラーレン720S GT3でGTワールドチャレンジ・アジアの『ジャパンカップ』に参戦します!

2005年位までは日本で国内メーカー車のレースに参戦していました。2006年以降は色々なきっかけで海外でのレースに参戦することが増え、アジアシリーズが初戦で、2015~2016年頃からヨーロッパのレースにも参戦するようになりました。

 

2016年「ル・マン24時間耐久レース」に初参戦し、その後何年か参戦していました。

 

ル・マン24時間耐久レースは特別で、2006年頃から海外のレースに参戦し始めたのはル・マン24時間レースに参戦したいと思っていたからです。参戦するのに10年かかりました。

 

日本人でル・マン24時間に参戦したことがあるドライバーは、殆どといっていいほど少ないです。僕はどちらかというと雑草で一流の道を歩みませんでした。

 

一流の道とは、日本のレースドライバーの成功例でいうと、トヨタ、ホンダ、日産などのメーカーと契約をした「ワークスドライバー」といわれる選手で、メーカーの支援を受けてレースに参戦するというプロセスです。

 

僕の場合はその路線ではなく、自分でアマチュアドライバー教習のドライビング・プログラム「ワンスマ」を運営し、教えながら、参加してくれているアマチュアドライバーと一緒にレースに参戦していて、その延長線上でル・マン24時間に参戦するまでになりました。

 

アマチュアドライバーの方と僕のようなプロが組んで参戦するレースは、この10~20年でだいぶ主流になってきています。自分が教えた人が速くなり、僕と一緒に結果を出すっていうレースの世界を確立させました。自身がレースに参戦するだけではなく、アマチュアの方のモータースポーツのドライビングテクニックを教えるなどのサポートをしています。今で言う二刀流ではないですが、プロドライバーとしての自分がレースで結果を出してネームバリューを上げ、その一方でアマチュアドライバーを育成しつつ一緒に参戦するドライバーを獲得してレースに参戦するというスタイルです。

 

海外の富裕層のレースが好きな方にレッスンして、その人と組んでル・マン24に参戦したことは、今までの日本人レーサーとのパターンとは異なっています。

 

日本チームでも日本車でもなく、フェラーリの海外チームでル・マン24に出たんです。このチームに日本人は僕しかいませんでしたが、これからはそういう環境も増えるかもしれません。

 

現在はル・マン24には参戦していませんが、自分でチームを作って、自分でレッスンしてきたドライバーたちと一緒に組んでレースをしています。

スポーツカーなど高性能車には「人間の性能」が求められるんです。

車の運転は車中でやってることだから、上手い下手は分かりづらいと思います。

2023年GTワールドチャレンジ・アジアの『ジャパンカップ』へ

メインで参戦しているレースは「SRO(SROモータースポーツグループ)」という海外の主催者が開催している「GTワールドチャレンジ・アジア」ですが、近年では新型コロナウィルス禍で海外との往来が難しくなっていましたので、2022年に「GTワールドチャレンジ・アジア ジャパンカップ」という大会ができました。日本チームも多く参戦しています。

 

この大会に「マクラーレン720S GT3」で参戦していくことが、今後のレース活動のメインになります。スポンサー様にも集まっていただき、ドライバーも集まって車を走らせることができます。さらに専門メカニックは2020年からメンテナンスガレージにお願いをしていて今年3年目になるので信頼しています。

「マクラーレン720S GT3」

モータースポーツ大ファンの記者には、この写真はたまりません! 最高の目の保養! くぅ~、めっちゃカッコイイ!! エグゾーストノート聞きたい!!

Q:レーシングチームとして、これからの活動や目標をお願いします。

僕自身ドライバーとして潮時が近づいていますが、「もう一花咲かせたい」という思いが強いです。アマチュアドライバーの中にはレース志向の方も育ってきていますし、僕の後継者になるようなドライバーや、ドライビングテクニックを教えることもできるスタッフたちも、この10年で育ってきています。なので僕自身が先頭に立って参戦や教習するよりも、レースもワンスマも経営戦略に専念することを考えています。

One Day Smile(ワンスマ)というコンセプトに込めた想い

ワンスマとは

サーキットで遊ぶ今日一日を楽しく笑って過ごせるように、、、これがOne Day Smileというコンセプトに込めた想いです。
レース活動と並行して手弁当で始めたドライビングレッスンを2009年からワンデイスマイルドライビングレッスンと命名組織化し、法人化(法人名 株ABSSA)を通じて事業拡大を経て、いつからか参加してくださる方々が親しみを持って略して呼ぶようになり、それが今の“ワンスマ”のルーツとなっております。

※出典:ワンスマホームページより抜粋

「車を使った遊び方というソフトウェアをサービスとして提供するのが我々ワンスマです。」座学でドライビングテクニック講義中の澤圭太さん。

「クルマ遊び」もビジネスとして事業化し、これだけ長くそして恒常的に顧客がいてくださるのは、他のドライバーではなかなかできてない自分の強みですね。

 

Q:所有する車でサーキット走行もできますか?

自分の車でサーキットを走ることは、相当ハードルが高いです。実際にリスクも伴いますし、レースに参加する事は難しいと思うんです。誰にでも「車が好きだったら、ぜひやってみましょうよ!」とは言えません。

 

近年は「カーレンタル」してレースに参戦できる対応プログラムもあります。「サーキット」「ドライビングレッスン」などで検索すると、上手くいなりたい人、走ってみたい人がサーキットに行かずにできるトレーニングがありますよ。

 

最近ではドライビングシュミレーターがあります。シュミレーターであればリスクはなくなります。

 

自分の車でいきなり走らせるのは難しいと思うので、今はレンタルで走れる環境が出来ています。ワンスマで協業している企業で車を用意してくれるところもありますので、会員になっていただいて、カー・シェアリングで数人で月会費のサブスクで権利を保有していればサーキットに行きたいときにシェアしていてる車を借りて走れるというプログラムです。

 

当然サーキット走行費用は別途必要になります。自分で車を買って自分で走らせるリスクなどを考えれば費用を抑えられると思いますよ。

 

ワンスマが企画するイベントには、年間で延べ1000人ぐらいの方々が参加して下さっています。1人のために一日費やす時もあれば10人~30人集まるイベントや200台集まるイベントもあるし、そういう企画をまとめると、一年で延べ1000人位から1500人位のみなさんに参加いただいています。

 

時にはお客様の車に乗り、レッスン要素のあるプログラムだと自分もしくはインストラクターが必ず同乗する機会もあります。それだけでも500台位はお客様の車に同乗しています。

「トレーニングセンター」を作りたい

10年かけて「ル・マン24」まで参戦できたことと同じ熱量で取り組んでいきたい目標があります。お客様等々が自由に使える「トレーニングセンター」を自分が手がけて作りたいと考えています。

 

場所は富士スピードウェイ等の主要サーキットの近くやアクセスの良い東京近郊湾岸沿い、もしくは16号線沿いでどこか作れるところがないかなと思っています。若くてお金がなくて「でも車好き!」っていう人も集まって、一般道で危ない走行をすることもなく峠に行くでもなく、このトレーニングセンターで正しい車との付き合い方を学べる環境を整えたいです。

これからの白井市に期待すること

住みやすい街ランキングだと、印西市牧の原の方が目立ちますので、やっぱり負けて欲しくないなあって思います。白井市には子供が育つためにもいい風景がまだ残っています。千葉ニュータウンの本家は白井市ですから、他市に負けるなんていうとちょっとイヤですね!(笑)

 

梨も白井が産地としてもっと有名になっていいはずで、市川市や船橋市のイメージがあります。昭和50年代の新しいまちの先駆者でもあり、千葉ニュータウンの本家である白井市の存在が大きくあり続けて欲しいです。

 

Q:白井市の子ども達にメッセージをお願いします。

 

千葉県は元々モータースポーツが盛んな県だと思いますし、県内には幾つかサーキットもあります。車が好きな子たちは18歳で免許取って、中学・小学校の同級生と一緒に夜中のドライブに行くことも必ずあると思います。車を利用して地図を広げて行くにはいい環境だと思います。ちょっと道路事情は悪いかもしれないけど。

 

白井市は都市も近くて、近隣の市にはない魅力のあるまちです。近隣の市には負けて欲しくない! 近隣の市には負けないように頑張ってね!

 

澤圭太さん、ありがとうございました。

 

取材日:2023年4月4日

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。