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しろいの仕事人

JICA農業訓練に密着取材!

2022年7月1日~3日、NPO法人農と人を拓く学び舎向志朋、ひまわりオーガニックファームにて独立行政法人国際協力機構(JICA)「JICA海外協力隊2022年度1次隊課題別派遣前訓練(農業開発/野菜栽培)」が行われました。

白井市で国際協力機構(JICA)が
JICA海外協力隊の課題別派遣前訓練を実施

(一社)海外農業開発協会理事の井佐さんが会長を務めるNPO法人農と人を拓く学び舎 向志朋の農場、そして元青年海外協力隊「2005年度マラウイ野菜栽培」で経験を積まれた高橋さんが運営するひまわりオーガニックファームの農場で、JICA海外協力隊2022年度1次隊の課題別派遣前訓練(農業開発/野菜栽培)が行われました。


当日取材にお伺いし、インタビューは後日NPO法人農と人を拓く学び舎向志朋の井佐会長に、メールで質問し回答をいただきました。

井佐 彰洋氏(協力隊1981年度 コスタリカ 野菜栽培)

NPO法人農と人を拓く学び舎向志朋会長

(一社)海外農業開発協会理事 

NPO法人農と人を拓く学び舎向志朋
井佐会長にインタビュー

Q:NPO法人農と人を拓く学び舎向志朋はどのような活動をされていますか?


国際協力の農業分野で活動しようと志す農学系大学生、協力隊希望者・経験者などの若者、また、就農を目指す方々にとって研修や実践の場となる環境を提供すること、さらには年齢層は問わず農業に関心ある方々が土に触れ、自然に親しむ時間・空間を楽しめる場を作りたいと考えています。


また、園芸療法や障碍者支援の観点から、食料生産に留まらない農業の持つ新たな価値を見出すこと、つまり日本の農業の新たな姿を提案することも私たちの役割だと考えています。


Q:就農を志す方であれば、体験はどなたでも可能でしょうか?


先ほども申しましたように農業専門家志望、就農したい、ゆるく農作業をしたい、土に触れたい、こどもを遊ばせたい、心の癒しを求めたい等々。農に関心あればだれでも受け入れ、その方に合った活動を考えます。

『講義中の理科の実験!』

陽射しの強い現地で、即席で水を温める方法として、ペットボトル等を黒くします。

数十分放置しておくと、水が温まりましたね!極簡単ですがこれも「一つの知識」として、とても有効活用できます。

Q:白井市に拠点を置いた経緯など教えてください。


東京農業大学卒業生3名-後に設立発起人となる初代会長の大塚正明、理事長の豊原秀和、専務理事の井佐彰洋-が、東京都周辺地域で主に農大の卒業生の伝を頼って農地と住まい(兼事務所)を探しました。


白井市で内藤秀樹氏(農大卒業、梨農家、当時の農業委員、現在向志朋監事)に出会い「本気でやるなら応援するから白井市でやれ!(と言う思いと私は受けとめ)」と、様々な環境つくりに尽力して下さったのです。


東京から近く、都市生活者も多い、かつ農業生産地であることから様々な活動を行うには適地であると判断しました。

JICA海外協力隊事業との関わり

ひまわりオーガニックファーム代表 高橋修治氏(農大OB、協力隊2005年度 マラウイ 野菜栽培)

「農薬を使わずに野菜を作るための基礎知識」について講義中。

Q:訓練生にはどのような内容を伝えているのでしょうか?


全体を総括する立場からは協力隊員は現地側から見れば究極の「よそ者」であることを認識しなければなりません。如何に現地の人々に受け入れてもらえるか、が活動の第一歩です。そのうえで、各講師から学んだ技術を現地に適した応用技術として考え、実践に移すことが重要です。

ひまわりオーガニックファームで訓練中。農園全てが学びの場です。

高橋さんから伝授される農薬を使わずに野菜を作る基礎を、赴任する現地で役立てたいと真剣に受講していました。

Q:今回のようにJICA海外協力隊の訓練生を受け入れている経緯を教えてください。


初代会長が青年海外協力隊事務局長、その後公益社団法人青年海外協力協会(JOCA)の常務理事を務めていたことから、多くの協力隊関係者が援農に訪れてきてくれました。今回派遣前訓練について、青年海外協力隊事務局から協会(海外農業開発協会)に打診いただいた折、谷田のNPO法人の農場、近隣の農家の方の協力を頂いて実施することを提案し実現しました。

「人が集う農場」へ

中里大介訓練生。農機具メーカーで3年間営業職に就き、世界と日本をつなぐ架け橋になりたいと志も広い方です。

Q:世代を超えて後輩に託すような研修内容を拝見しました。


「世代を超えて後輩に託す思い」と受け止めてくださったことをとても嬉しく思います。


今回の講師は全員が、東京農業大学国際農業開発学科(前農業拓殖学科)の卒業生です。この学科は学内でも取り分け卒業生との絆が強い、先輩と後輩のつながりが強い学科の出身者です。

さらに協力隊や専門家で国際協力に携わっています。ですから、今回の講義、実習に熱が入ってしまうのは当然のことなのです。

何故今この作業が必要なのか、マルチシートの種類や用途方法も余すことのない情報が、大学で教鞭をとる先生によって、学術の観点からも伝えられています。

いま必要な作業、何故かを理論的に質問ができる環境なんですね。

大橋美月訓練生。栄養学を学び、飢餓貧困に悩む地域で「何をすれば幸せか」を農法から知識の伝播の一助になりたいと意欲を語ってくれました。

Q:目指す事業や目標などを教えてください。


向志朋のホームページにある4つの事業のすべてを実施するに至っておらず、作物栽培・農場運営に追われてばかりですが、農業体験や障碍者・就農希望者の受け入れなどを行いたいと考えています。


身近な目標としては「人が集う農場」です。

後輩に託す

向志朋農園の落花生畑です。みんなで雑草取り作業をすることになりました。

花の根元からつる(子房柄)が下方へ伸び、地中へ入り始めていました。記者も雑草取りに参加しました。

雑草取りが終わり、尽きることのない現地での苦労や実働秘話、体験談をあますことのない「世代を超えて後輩に託す思い」を2名の訓練生と語り合っていました。

Q:JICA海外協力隊や就農を志す青年にメッセージをお願いします。


JICA海外協力隊を目指す青年には、究極のよそ者であることを忘れることなかれ。就農を志す青年には、私自身が就農をしていないのでメッセージというより、日本の農業をよろしく、私も微力ながら力を尽くしますからというお願いです。


海外農業開発協会 井佐


謝意:NPO法人農と人を拓く学び舎向志朋・ひまわりオーガニックファームそれぞれの農場での「JICA海外協力隊2022年度1次隊課題別派遣前訓練(農業開発野/菜栽培)」に同行取材させて頂き、絆の深さであり後輩に託す思いが溢れているのを感じました。


講師を務められた方々からは、自分たちの実地での経験値や知識を隠すことなく実直に吸収してほしい、そして現地の人々の為にどれだけ自身が知識を用意して溶け込める「日本人(gaijin)」として準備が出来るかを教えて頂いたと思います。


今回の訓練生2名とも既にそれぞれの派遣地へ旅立ちました。今この時にも活動に懸命に取り組んでいる事と思います。中里さん、大橋さん頑張ってください!取材させて頂きました事、改めて御礼申し上げます。

取材日:2022年7月3日

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。