野田市在住の辻 邦雄（つじ くにお）さんから情報を頂き取材しました。

朝日新聞で『しろいガチャ』を紹介する「なし坊」を初めて見たんです。顔の輪郭などが「すごくシンプルで簡単そうだな！」と思ったのがきっかけです。白井市役所へゴルフボール「なし坊」を写真で送りました。

なし坊には「かおりちゃん」という妹がいることも知り、どんどん作ってみたんです。丸い輪郭のキャラクターを見ると「もう作るしかない」って思っちゃうんですね。白井市役所の方に「なし坊の妹のかおりの頭に付いているのは何ですか？」と聞いたところ「リボンです」ってお応えいただいたのでリボンをつけました。

松戸市や野田市の小学校教職員を定年退職後、早朝のゴルフ場でアルバイトしています。以前、動画サイトでウッドカーバーという木を細工する外国の職人さんが片手間にゴルフボールを中心から表面（カバー）だけを切って彫る工法をみて、ゴルフボールはあるので「これなら自分もできそうだ」と思って始めました。

彫刻刀やナイフで切込みを入れて表情をつくり、表面は耐水性のあるアクリル絵の具を塗っています。その後にニスを塗ったりラッカースプレーかけたりして、一個作るのにだいたい半日必要です。

ボール一個一個にも個性があり表皮をむくのがひと苦労なんです。ペンチやニッパーを表皮の隙間に入れて剥いでいきますが、すごく堅いので歯が立たないものもたまにあって、以前はムキになって大怪我したこともありましたよ。

始めた頃は、孫がテレビの人気キャラクターなどをコレクションしていましたので、ゴルフボールで作品として時々作ってあげたりしていました。
初期の作品は鼻も彫っていましたが、最近は手抜きになってしまいました。海外アニメーションのキャラクターの顔はツルっとしていて鼻を彫ることもないなと思い、後から鼻をくっつければいいと工程も考えるようになり、耳はアイスクリームのバーを工夫して表現しています。

作品になる時は本当にパッと閃きます。
作品の中には「だるま」もあり、結構評判が良くて多くの人が縁起物として喜んでくださいます。
素材の地が白だと鮮やかに色も塗りやすいですが、濃い色は隠ぺい色といって一度この濃い色を隠さないといけません。白色を2回ぐらい塗ったりすることもあり、手間がかかるんですよ。これからも、パッと思いついた作品をどんどん制作していきたいです。

辻さん、ありがとうございました。